高校生にはテストが2種類あります。それが定期テストと模試です。

定期テストは学校で行われる中間テスト、期末テストのこと。模試は主に予備校が作っている全国的なテストのことです。模試は模擬試験というだけあって、実際の入試に近づけて作られます。どちらの点数を取るべきかというと、それはどちらもです。というか、用途が違います。学校の定期テストは「内申点」に関わります。内申点を取るためには定期テストの点数を取らなければいけません。もちろん提出物なども(それなりに)出さなければいけませんが、定期テストで点数をとれていないと基本的に「5」は付きません。

 内申点は大学入試の推薦において特に重要になります。いわゆる大学に提出する「調査書」に記載されるわけです。それに対して、模試は内申点にはなりません。内申点にならないどころか、入試に全く関係ありません。「関係ない」というと語弊があります。

模試は入試の目安です。どの模試でどの位の点をとっていれば、どこの大学にどのくらいの確率で合格するのかのという判断基準にはなります。確かに鵜呑みにしてはいけないものでもありますが、定期テストではそこの判断はできないので、模試は重要ということになります。先に話したように、模試は入試の模擬試験ですので、定期テストと模試でどちらの点数が取れたほうがいいかというと、模試で点数を取れるようにしておかないといけないわけです。

大切なのはここからです。

模試で点数を取れるけど、定期テストでは取れない。

定期テストで点数は取れるけど、模試では取れない。

これがなぜ発生するかです。そもそも模試と定期テストでは仕組みが大きく違います。定期テストは基本的に、最近授業で習った内容が出されます。授業で配布されたプリントや学校で使用している問題集のごく狭い範囲がテスト範囲として指定され、その中から出されるわけです。それに対して、模試はテスト範囲が一応ありますが、それに対応したテキストはありません。最近受けた授業以外からも普通に出題されますし、学校の進度によってはまだ習っていない部分が出ることもあります。もっとわかりやすく言うと、定期テストは暗記型の勉強で基本的に何とでもなります。模試は概念習熟型の勉強でなければ太刀打ちできません。そもそも、模試のために勉強する、模試対策をするというのは模試というものの捉え方がずれています。模試というのは普段勉強してきたことがどれくらい自分の力になっているかを試すものなんです。各種模試の過去問は、本来模試で点数を取るためにはやるわけではなく、あくまでも入試に向けての演習量を稼ぐためのものという視点でやります。従って、模試の点数を上げるために模試の過去問をやっているというのは明らかな目的のずれです。

では次に、暗記型の勉強と概念習熟型の勉強の違いを話していきます。

暗記型は字のままです。

学校から配布されたプリントを暗記するまでやる。

教科書を暗記するまで音読する。

傍用問題集を暗記するまでやる。

こうすれば定期テストは取れます。実際に授業で習ったものをテストするわけですから、わからない方がおかしいんです。授業中何してたんですか?という話です。ちなみにこの暗記型の勉強をテスト直前などに集中して行い、テストが終わった途端に勉強しなくなるというような、大半の高校生に見られる典型的な「テスト勉強」は、短期的(一時的)な記憶の保持(=短期記憶)には寄与しますが、半永久的に覚えていられ、いつでも思い出せる状態になっている記憶(=長期記憶)には寄与しないことが知られています(テストが終わると大半の人がすぐに内容を忘れてしまうのは、こういう、その場しのぎのダメな勉強をしているからです。つまりこの「暗記型の勉強」にも正しい姿勢・方法論があるのです)。

しかし模試はそうはいきません。

国語では初めて見る文章が出てきます。英語や数学や社会などの他の科目でも、定期テストのような形式で問題は出ません。そうなると当然面喰います。読んだこともない文章を読んで、習ったこともない質問を繰り出されるわけです。だから本質的な国語力が必要になるわけです。数学も習ってすぐに出題されているわけではありませんし、なんなら習っていないものも出題されますから、元々自分が持っている基礎の知識をしっかりと磨いておく必要があるわけです。基礎の知識の概念から習得すべきということです。

なぜそうなるのか、なぜその公式の形になるのか、なぜそういう名前がついたのか、なぜ?なぜ?なぜ?と追求することです。そうすると概念という「核」の部分にまで到達します。それこそが本当の学力になる。定期テストで点数を取れているのに、模試で点数が取れない生徒さんは普段基礎概念を知ろうとしていない証拠です。ほとんどの勉強を暗記に頼っている(しかも長期記憶に寄与しないやり方だともう最悪…!)ということになります。逆に模試は取れるけど、定期テストが取れないという生徒は、努力を積み上げられないタイプです。

地頭はいいんでしょうね。しかし勉強はコツコツやることが軸になっていないといけない(実はこのコツコツが長期記憶に寄与する)ので、頭が良くても宝の持ち腐れです。基礎概念を知り、地道に毎日努力をコツコツ積み上げられるタイプが最も賢いということです。まあ当然のことですよね。模試だからこういう勉強、定期テストだからこういう勉強と分けるのではなく、常に基礎概念を知ろうとする探求心を持ってください。

記憶の仕組みとそれを生かした学習法はまたいつの機会にか…

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小野桂史
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