うちは大学進学を目的とした塾ですが、中学生も募集しています。それは、早いうちから「じりつ(自立・自律)」の術を学んで、自走できるようになってほしいからです。

よく受験だからという事で駆け込み寺的にうちに面談にいらっしゃるご家庭も多いですが、正直それでは遅すぎます。高1高2はあまり勉強してないけど、高3になってから塾行っとけば大丈夫でしょと思ってる人(これは保護者も含めてです)は考えが甘すぎると言わざるをえません。「塾に行けば点が上がる」というのは幻想です。まず、そもそもここが分かってない方が多いのでその話から。

高3で勉強をやり始めた人は大抵、点はそれなりに上がります。つまり、高3まであまり勉強していなかった人は、量をこなせば得点が伸びます。当然ですね?今まで勉強をサボってたので、伸びしろはある程度あるわけです。共通テスト模試が元々400点とかであれば、量をこなすだけですぐ500点代には乗るでしょうね。別に塾に行こうが行くまいがです。

なお、余談ですが、中学3年生はこの「ただ量をこなす」というだけで高校受かっちゃうんです。それは、「高校受験は内容が非常に簡単で浅いかつ分量が少ないうえに、延岡の高校の倍率が非常に低い」からです。だから、スタートがいかに遅かろうと、塾や勉強の質がいかに低かろうと、朝から監禁して問題をひたすら解かせていれば、たとえ真の学力なんかなくとも普通に受かっちゃうわけです。そして塾側も、自分達の指導が良いと勘違いしがちなんです、困った事に…。

まぁ、それはさておき、大学受験では、このただ量をこなすだけではあるラインから得点が伸びなくなります。つまり、難易度も高く、分量も膨大な大学入試レベルの問題で、高得点をとるためには、真の学力が求められる段階が必ずくるわけです。僕のいう真の学力というのは、基礎概念から論理的に物事を考え、組み立てていける力の事を指しますが、では、その真の学力を身に付けるために必要なものとは何か?そう、これこそが塾のページでも述べている、

試行錯誤して泥臭く計算したり、ひたすら書き出したりして何とか答えを出そうと足掻く力、自分で能動的に問題点や疑問点を見つけ、分析し、考え、調べ、演習を繰り返して新しい知識や視点を身につける力

の事です。じゃあ、そんな勉強を今まで全くしたことのなかった人が高々数ヶ月でできるようになると思いますか?

そんなのできるわけないんですよ。

何故なら「しこう(思考・試行)」力というものは、日々の積み重ねによってのみ鍛えられるからです。

要は、「しこう」は習慣なんです。

そんなね、一朝一夕で獲得できるものじゃないんです。そして、偏差値というのは、「じりつ心」や「しこう」する習慣の有無が如実に表れるものなんです。高3の段階で偏差値65ない人は、上記の力が足りていないと判断せざるを得ないでしょう。そうすると、特にレベルの高いところを志望している人は本当に死に物狂いの努力(寝る時間以外の全てを勉強に充てる。食事中も入浴中もです)を継続しない限りは、得点の伸びが止まったあたりの大学にしかいけないわけです。そして、「この死に物狂いの努力」ができる人もごく僅かです。なぜなら、「じりつ」ができてないからです。人の性格や習慣はそう簡単には変わらないんですよ。だから、取り組み始めた時期が遅く、こういう「しこう力」や「じりつ心」が育まれていない子は、ズルズルと目標を下げていかざるをえない人が多いわけです。

で、これって別に3年から塾に通う通わないはあまり関係ないということですよ。うちのように静謐な環境があって、甘えるな、毎日来いとうるさくうるさく言われて、方法論や学習観も細かくアドバイスするような所なら受験までに多少の改善はされるかもしれませんが、それでもまぁ、上に述べた理由から中々難しいわけです。これが、生徒数が多くていつもガヤガヤ騒がしく、友達もいて楽しく喋りながらお勉強ができるようなぬるい所を選んだのなら、1年後の結果がどうなるかということは火を見るより明らかですよね?そんなところではただ「やった気になっている」だけです。

ま、「思い出作り」や「いかにもな青春」が目的なら大いに結構なんですが、第一志望に合格することが目的ならば、その選択は「塾に通っている(通わせている)」というただの気休めにしかならないわけで、実際はむしろ目標から遠のいていることは自明でしょう。

では、そもそも塾というのは何のための場所か?

塾というのは、今までの甘っちょろい環境や性格、習慣を抜本的に変えて、1人でしっかりと目標に向かって自走できるようになるための方法や習慣、考え方を身につけるところなんです(当然、各教科の深い知識があって、どこの大学入試問題であろうがすぐ質問対応できるとかは「アタリマエ」の話です。延岡だとそんなとこほとんどないですけど)。

なので、中学生の早い時期からそれをできるようにするための「しこう力」や「じりつ心」を育てるために、うちでは学習観や方法論に関して、特にうるさく、うるさく言います。例を挙げると、「答えを横に置くな。手を動かして具体例を書き出して規則性や法則性がないか探せ。式で考えるのが難しいなら図や表やグラフで捉えられないか考えろ。式をいじる前にまず直感的に説明できることはないかを考えろ。言葉の意味がわかってるか説明しろ。間違いを消すな、残してミスの種類を分析して、なぜ間違っているのかを自分で指摘せよ。自分の目的目標は何かを軸にして行動計画を立てろ。行動の2択で迷ったら常に苦しいと思う方を選べ。」などなど…

そしてこれは全て弱点分析ノートと目標ノートにメモするよう伝えています。視覚化することでいつでも目に留まるようにするわけです。これを積み重ね、「しこう力」を身につけて中学のうちに「じりつ」し、高校生ではその力を元にしてひたすら邁進するという状態を作ることがうちの一つの目標なんです。だから、もし大学受験で第一志望合格を目指しているのであれば、なるべく早い段階から通ってくださいということで、中学生を募集しているんです。

高校生は「放置」と「質問対応」だけで十二分に成長し続けることができるという状態を作ることが理想ですね。

自分の中になかったもの、やってこなかった事を身につけ、習慣化するということは当然時間と労力がかかるわけです。そして、それはぬるま湯に浸かっているだけでは絶対に手に入りません。

投稿者プロフィール

小野桂史
最新の投稿