生徒さんのいう「知ってる・分かっている」という言葉は、僕は基本的に信用していないことが多いです。この言葉は大抵、「聞いたことはある(自分で正確には説明できないけど)」という状態がほとんどです。

実際、僕が「じゃあ、説明してみて」と尋ねた瞬間、口籠る人が95%です。

これじゃあいけませんね。

かの有名なアインシュタイン曰く、

「6才児に説明できなければ、理解したとは言えない」

だそうです。彼自身、こんな逸話があります。

ある日アインシュタインが街中で小さな男の子に、「相対性理論って何なの、教えてよ!」と質問された。アインシュタインはにっこりと微笑み、こう答えたという。

「もし君が、きれいな女の子と一時間並んで坐っていたとすれば、その一時間は一分のように思えるでしょう。しかし、もし彼が熱いストーブのそばに一分間坐っていたら、その一分間は一時間のように感じるでしょう。これが相対性です。」

さすがアインシュタインですね。自分の知識を本当に自分のものにしたかったら、「要点をかいつまんでわかりやすく人に説明できるか」というところを意識してみてください。

「知っている」を「説明できる」に変えるのを日々の勉強の目標に据えてみると良いかもしれませんね。

「知っている」は成長を止める呪いの言葉です。「知っている」と思った瞬間に考えることを止めてしまいます。

「知っている」ことに出会ったら、「説明できるか」を考えてみましょう。

知っていると思っていても説明できないことがでてきます。むしろ、偏差値が65ない人はその状態がほとんどなはずです。何となくわかった気になっているだけ。

そこが自分がまだよく理解できていない部分です。ノートを使って自分に向けて説明してみて、曖昧な部分をしっかりと把握してください。

「知っている」から「説明できる」へ。

「説明できる」から「より広く,より深く説明できる」へ。理解できたかどうかは、

 1)人に説明できる

 2)具体例を挙げられる

の2点で確認できます。人に説明できないなら、まだわかっていない、理解していないということです。

具体例を出しましょうか。数理科学系の話でいうと、一般に学習は以下の番号の順に進んでいきます。

①用語·定義の意味を正確に把握する
② 定理·公式とその使い方を学ぶ
③定理·公式の証明をし、論理構造を知る
④出発点(原理・公理)を見つける

①,②はまだ「知ってる」状態です。

③・④に進んで「説明できる」になリます。

②は定理公式に当てはめて問題を解いている段階で、類題は解けるけれど、定理・公式がそのままでは当てはまらない問題や初見の問題は解けません。皆さんが普段メインでやっている「問題を解く」というのは、この②ですね。ここばかり鍛えて、いわゆる「基礎」の①が非常にあやふやな結果、力がついていないという人が非常に多いという話を前にブログでしました。

つまり、この「知ってる」状態すらも不完全な人がほとんどなのです。

③・④まで掘り下げると、定理・公式に当てはめるのではなく、定理・公式が当てはまらない状況でも、定理·公式の仕組み・構造(証明)を用いて、問題が解けるようになります。

定理・公式に当てはめるのではなく,根本原理にまで堀り下がり、根本原理から出発して、実験·検算を換り返しながら、自分で考えるカをつけていくことを、数理科学の勉強の際の長期目標に据えると良いでしょう。

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小野桂史
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