今回は、受験勉強という長い目で見た中での試行錯誤の過程について深堀りしたいと思います。

下手な鉄砲ではなく、常に工夫し、正しく試行錯誤することが大切なのです。

①情報を集める

何を成し遂げたいかという目標を決めたら、それに向かって行動していくわけですが、間違ってはいけないのが、情報も集めずに無計画に行動してしまうこと。

もちろん行動力は大前提なのですが、ただ策もなく動いても効率は非常に悪い。 

目標から逆算して、それを達成するために必要な情報収集をしていくことが大事です。

何をしたくて、何を知りたくて情報を集めるのか。その為に何の情報が欲しいのか。

これを考えた上で、動くべきなのです。

受験勉強でいえば、まず必要なのが、志望校選定とその高校・大学の情報収集です。

試験科目、各科目の配点、共通テストと二次試験の比率、合格者平均点や最低点、志望大学の問題傾向(取れる箇所を取っていくタイプ、点数を落とせないタイプなどの見極め)など様々な情報を集めます。

それと現状の成績を照らし合わせ、分析することによって、何をいつまでにどれくらいの量やれば良いのかということが具体的に見えてくるわけです。

また、先行事例を調べて、先人からノウハウを見習えば先人がやらかした失敗をスキップすることができます(歴史を学ぶというのはこういう点でも大事なんです)。

不合格者の体験談も反面教師として大変参考となるでしょう。

②常に「目的」を意識

何も考えずにひたすら行動すると、成功まで非常に時間を要したり、モチベーションが続かなかったりします。

勉強や仕事など、やるべきことに対しては常に、「今、何のために、どういう結果を目指してやっているのか」を意識しながら行動しましょう。

目的意識を持つことで、過去の成功体験や達成感が想起され、脳がドーパミン分泌を活性化させます。

それによりモチベーションとやる気は大きくアップし、生産性や効率性もあがり、行動が継続できるようになります。

やみくもに勉強するのではなく、その日のうちや1週間単位でどういうことを出来るようにするのかという短・中期目標を設定し、その為に何をやるのかを具体的に計画して実行することで、達成感が得やすくなります。

目標設定や行動計画を通じてセルフマネジメントすることは、以前話したじりつ(自立・自律)心を鍛えるだけでなく、モチベーションを維持する脳の使い方としても有効なわけです。

③うまくいかない時はやり方を変える

試行錯誤の良くない例が、同じ失敗を繰り返すことです。

といっても、勉強に関しては一朝一夕で良し悪しが判断できるものではないので、最低でも半年は継続してから判断しましょう。

勉強に関してはこのように長期間にわたる継続が必要になります。

その中で失敗したやり方を変えるなど工夫しながら、さまざまなバリエーションを試すことで成長することができます。

ただ何も考えずに同じことを繰り返しているだけでは、試行錯誤とは呼べません。

うまくいかない時は抜本的に方法や視点を変えてみましょう。

それには、科学的合理性のある勉強方法を実行することが不可欠でしょう。

逆に科学的に非効率だとわかっている方法は取らないようにするべきでしょう。

実はこれはいくつかの研究結果があり、効果の高いものに関しては、誰がやっても効果があることがわかっています。

(参考文献: “Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology” p45 Table.4)

細かい内容が気になる方は論文を読んでみてください。

結論としては、「精緻化質問(なぜそうなるのかを問い、理解する)」「自己説明(自分に説明する)」「練習テスト(自己テスト)」「分散学習(間隔を空けて忘れた頃に復習)」は勉強の効果が高く、「要約(熟練者には有効)」「ハイライティング(大事なところに線を引く)」「語呂合わせ」「イメージを描く」「再読」は勉強の効果が低いということになります。

エビデンスのある方法を選ぶことが上手くいくための一つのポイントになるでしょう。

こういった具体的な方法のほかに、勉強する時間を変えたりしてパフォーマンスの変化を観察したり、栄養や運動、睡眠といった生活習慣を見直してみたり。

どんなことが成功につながるのかいろいろ試す中で、成功へとつながる自分に合った行動・習慣を確立していくことが重要です。

④失敗の原因を分析する

実際に試行してみて、失敗した時は、分析をして正しい原因を見つけることが最も重要です

「なぜ、うまくいかないのか」

原因を見つけることができれば、あとは解決策を考え、再度試行し、修正する。

これを繰り返し、失敗の原因を解消することができれば、まず間違いなく成功します。

真の原因を捉えそこなって、的外れの改善策を練っていては成功は難しいでしょう。

 そして、もし模試の成績が振るわなかったり、最悪不合格となって再受験する場合は、「なぜ点数が低かったのか」「なぜ落ちたのか」を徹底的に追及して改善します。

「そもそも量不足」の他に、「継続力がない」「無計画に勉強している」「思考より作業の時間が多すぎる」「インプットとアウトプットのバランスが偏りすぎている」「人に説明できる状態になっていない」「日頃の勉強で理解度チェックテストを全然していなかった」などなど様々な原因があることでしょう。

原因をひとつひとつ全部潰していけば、必ず点数に変化が現れるはずです。

その際、注意したいのが原因の特定が間違っていること。

自分が勉強に苦戦しているのはなぜなのか。

それを突き詰めることが何よりも大切です。

原因を勘違いしていると、対策をしても全く結果につながりません。

正しい原因を捉え、合格への「正解」を見つけることが非常に重要です。

これを日頃から分析ノートを使ってやっていくわけです。

以上、試行錯誤の4つの項目を見てきました。

目標を決め、それを達成するための情報を収集し、日々目的と効率を意識しながら努力する。その過程で生じた失敗の原因を緻密に分析し、修正・再度実行する。

この一連のプロセスを極めていけば、今後ありとあらゆる困難に応用できるため、人生の質が変わると言っても過言ではありません。

この試行錯誤というのは勉強に限らず、あらゆることにおいて大事なのです。

そして、この試行錯誤も「自分で」行動しなければなりません。

失敗なんかいくらしたって構いません。そこから学んで修正していけば良いのです。

とにかく行動。これに尽きます。

学生さんには、勉強を通じてこういった様々なことに通ずる重要なことを学んでいってほしいのです。

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小野桂史
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