ここ数年とあるゲームにハマってまして、大会にも出場するほどの熱中ぶりだったのですが、夜10時過ぎまでは仕事をしているので必然的に活動は深夜帯になります。そのおかげで慢性的な睡眠不足になっており、最近身体がしんどくなってきたので、ついに辞める決断をしたわけですが、生活習慣を変えるということは容易ではなく、自律神経がうまく機能しなくなっていたと見えて、最初は寝ようと思ってもよく眠れず、体調もしばらく優れませんでした。
しかし、ついに早い時間に眠れるようになり、それに伴って心身共に明らかに調子が良くなったのですが、あらためて感じたのは、睡眠不足は体調だけでなく、著しく頭のパフォーマンスに悪影響をもたらすということです。集中力も、理解力、直観力も共に低下する。読書にもものを考えるのにも影響するのです。僕は前に、延岡の高校は、邪魔な朝夕課外によって生徒たちを慢性的な睡眠不足に追い込み、学習能力を著しく低下させているので、早くやめるべきだと書きましたが、自分の睡眠不足で、改めてその正しさを再認識したかっこうです。
課題と課外の弊害 – 桂塾-延岡にある志高き中高生のための進学塾
成人後、加齢に応じて必要睡眠時間は減少するという話で、50歳位の年齢になれば、若い時ほど眠らなくても、“消費電力量”が少なくなるので6時間ちょっとで足りるそうですが、ティーンエイジャーだと7~8時間は不可欠だとされています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO76946580R10C14A9000000/?dg=1
それが延岡の高校では、宿題と課外と部活のせいで、真面目な生徒だと平均睡眠時間は僅か4、5時間になってしまう。それがずっと続いたのでは、ブラック企業の社員と同じになってしまうので、学力なんて伸びる道理はないのです。のちのちの健康阻害要因にもなってしまう(鬱や心臓病の遠因になるのです)。
これは延岡のみならず、「課外励行」の宮崎県の公立高校全体に言える悪しき傾向のようですが、模試の成績が時間を追うとともに低下して、最後に失速するというのは多くの生徒にみられるお決まりのパターンのようです。それは授業内容のお粗末さも関係するでしょうが、最大の原因は生徒たちを慢性的な睡眠不足に追い込んでしまっていることです。それがボディブローのようにだんだん利いてきて、学習能力を低下させるのです。
https://toyokeizai.net/articles/-/411174?page=3
別に医学知識がなくても、寝不足が有害だということくらい常識でわかりそうなものですが、それがわからないのが学校の先生というものらしい。ふつうの社会人でも適切な睡眠管理ができない人は、仕事でよいパフォーマンスはまず絶対にできないことでしょう(だからブラック企業は生産性が下がって業績を悪化させるか、社員を次々使い捨てするしかなくなるわけです)。それぐらい、睡眠は重要なのです。
深刻かつ慢性的な睡眠不足でなければ、短時間うたた寝すれば集中力は回復するものです。そうすると頭が再びクリアになることが多いのですが、慢性的な寝不足になっている高校生などではこれはうまくいきません。目が覚めず、そのまま眠り込んでしまうからです。
睡眠不足が特に影響するのは、緻密にものを考えたり、閃きや洞察を要するような作業をするときです。これは勉強なら、英文を精読したり、数学の問題(単純な計算問題ではなく)を解いたりするときです。機械的な棒暗記なら、記憶力は睡眠不足でかなり落ちているでしょうが、何とかなる。要するに、機械的でない作業をする時で、最も重要な作業をする時なのです。そしてその部分が阻害されれば、学力が伸びることは期待できない。
人間の知能は8割方遺伝で決まっているという話ですが、それは基本性能であって、学習能力はそれに加えて、環境とその後の訓練で決まります。元々が頭のいい子でも、あれこれ心配事を抱えていたり、強い心理的抑圧が作用している、あるいは強い緊張や恐怖にさらされている場合などは乏しいパフォーマンスしかできなくなるもので、これに睡眠不足まで加わるとその働きは最低レベルに落ち込んでしまうでしょう。ただでさえ無用な睡眠不足を強いられている上に、ちょっとしたことで声を荒げたり物に当たってキレ散らかす異常教師もいると聞きますから、何ともお粗末な学習環境を強いられているなと、僕は生徒たちに同情するのです。
だから、わが子にお勉強ができるようになってもらいたいと思う親御さんたちは、何より子供がどういう状況に置かれているかを理解する必要があるのです。慢性的な寝不足になっているとか、大きな悩みや心理的葛藤を抱えているという場合には、まずその原因を解消しなければなりません。
若いというのはある意味恐ろしいことで、寝不足が続いても、身体は何とかもってしまいます。僕も大学生時代は連続の徹夜を最長三日したことがあって、あれは妙に体が軽くなって宙を飛んでいるような感じで不思議でしたが、脳というデリケートな器官は寝不足では十分な働きが期待できないものなので、身体が何とかもっているから大丈夫なのだとは言えないのです。とくに長期に渡るとその悪影響は深刻なものになるでしょう。
他の地域にも真面目に付き合ったら睡眠が4時間しか取れないような非常識な“指導”をしている学校があるかどうか知りませんが、仮にあるなら、親としてはわが子の健康と順調な学力の伸びを期待するなら、そんな“指導”には従わないように逆指導することです。
これは大人の長時間労働の場合でも同じで、別に高度な頭脳労働をしている人でなくても、長期にわたる不眠や度の過ぎた長時間労働は心身に破壊的な影響を及ぼします。我が国には長時間労働をよしとする悪しき伝統があるようですが、それはダラダラやっているだけで実際には成果に乏しく、残業を禁止したら、かえって業績が上がったという会社もあると聞きます。仕事はかかっている時間よりもむしろ質だからです。勉強も同じですが、頑迷そのものの延岡の高校がそれに気づくのがいつなのかはわからず、だから僕は塾の生徒たちに「睡眠を最優先しろ」と言うのみなのです。
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO10215050S6A201C1000000/