勉強には当然やり方があって、それを皆さんは効率の良い勉強と呼ぶのかもしれません。
しかし、思っている効率の良い勉強ではないと思います。即効性のある勉強方法などないからです。すぐに結果が出る場合は、今までほとんど勉強をして来なかった生徒のみです。今までほとんど勉強をしていない生徒は、そもそも物理的な勉強量が足りていません。だから物理的に勉強量を増やすだけでそれなりに点数は上がります。勝負はそこからです。とりあえずの物量作戦で勉強量が足りて、点数が上がっていくと、いづれ伸び悩む時が来ます。これについては以前にお話ししました。
「じりつ」の術を早い時期に – 桂塾-延岡にある志高き中高生のための進学塾
そこからどうやって伸ばしていくかがポイントです。今回はその時の勉強のやり方をお話していきます。基本的に皆さんが思っている勉強とは、〇をきれいに塗りつくしてから次に進む勉強だと思います。
こんな感じです。一つの問題を1問ずつ真っ赤に隅々までに塗りつぶす感覚でやるのが勉強と思っている人が多いと思います。しかしこれでは点数が上がりません。やったけど上がらなかった経験をした人もいると思います。本来のやり方は、少しずつ塗りつぶしていって、何回もやることで真っ赤にしていく感じです。
こんな感じです。1回1回を完璧にしていくのではなくて、薄くてもスピード感をもって全部をやり切って、それを何回も重ねることで真っ赤にしていくイメージです。最初は点でしか分からなくてもいいんです。すべてが完璧にわからなくてもいいんです。それを何度も何度も繰り返して、点と点がむずびついて、線になったりして、線と線が重なり始めてそれが色になって、最終的に丸全体が赤くなるように計画をしていくわけです。そうすると「わすれた!」ということが少なくなります。1問を完璧にし続けていくと、1000問目には最初の1問を忘れてしまいます。人間なのでそれは当たり前です。これに関しては、単語の暗記をやったことがある方ならみんな納得していただけると思います。単語帳を最初から一つ一つ一生懸命覚えていったとしても、1000個目に行く頃には、最初の方なんてきれいさっぱり抜けているわけです。
単語の覚え方で具体的に見てみましょう。高校生のよく使っている単語帳「LEAP」を例に考えます。「LEAP」に載っている単語数は約2000語あります。これをどうやって覚えるかというと、例えば1日300単語ずつやるんです。そうすれば1週間で1周、1か月で4周できますね。で、これをやるとき大事なのは、「スピード感」と「忘れてもいいや、何回もやるから」という心持です。一生懸命時間をかけて覚えても人間なので必ず忘れます。なので、見開き1ページ分の単語なら、1単語1~2秒で音読しながら発音と意味を確認し、赤シートで隠してテストし、意味を言えなかったものにチェック、それらを再度音読し、再度テストして8割程度言えるようになったら次のページにという具合にテンポよくやります。1回当たりの学習時間を短くし、情報に触れる頻度を上げることが、長期記憶に寄与する有効な方法なのです。
テストが近づいてきて、急に頑張り始め、テストが終わったとたん勉強しなくなる生徒をよく見ますが、それだと、1問を1問ずつ真っ赤に塗っているのと同じです。そうすると受験の時にはきれいさっぱり忘れています。受験の時というか、3日後にはきれいさっぱり忘れています。それが勉強なのか?という話です。
上の図のように小さな点をたくさん集めていくことが本当の勉強です。これが一番時間がかかるが、一番効率が良い。だから定期テストの時には学校のワークを最低でも3周はしなさいと言うわけです。同じ問題を入試までに何回も何回も解くべきです。
ものごとには順序があり、それの先にしかレベルアップはありません。一つの丸を入試の問題100点とするのであれば、それを何度も何度も塗り重ねて、小さな点をたくさん集めて、最終的に真っ赤に染められるように勉強してください。
それが勉強の神髄です。