よく言われている話ではありますが、努力は裏切らない、というのは正確ではありません。これは、少し補足が必要なのです。正しくは、

「正しい方向性で十分量なされた努力は裏切らない」

とすべきです。努力は、量だけでなく、方向性も備えたものです。このように、量だけでなく、方向性をもったものをベクトルと言いますが、努力というものは、まさにベクトル量なのです。

よく、なんでこんなに頑張ってるのにうまくいかないんだろう、と思うことがあると思いますが、上手くいかない原因は、この2つが関係していると考えて良いでしょう。

努力と聞くと「何時間勉強した」「何日間継続した」「参考書何冊やった」など量が話に上がることがしばしばあります。しかし、「量」だけでなく「向き」も非常に大切なのです。

では、努力の方向に関して、何か正解はあるんでしょうか。

実は、これに対する正解はありません。厳密に言えば、正解は人によって異なります。それは、1人1人性格も特性も違えば現時点の学力も異なるからです。

ある程度環境が縛られていないと努力できないなという人は厳しめの塾に行くべきでしょうし、ある程度の学力があって、自分の勉強スタイルが確立しており、1人で黙々とやれるという人は学校の自習室や自習メインの塾で勉強するのが良いでしょう。

この自分自身にとって最適な向きを正しく定めるということが重要なわけです。

最適な向きから角度が違う方向に努力をしてしまうと、その角度によっては目標到着までの道のりもかなりかかってしまう。

これが、頑張ったけど成果が出ず、焦って同じ方向に進み続けてしまう人です。学校でも「真面目で、授業も寝ずに受け、ノートも綺麗にちゃんととっており、課題もしっかり提出しているが、模試の点数はイマイチな人」はよくいるでしょ?

具体的にどうずれているのかという事に関しては、成績が伸びない人の特徴のところで色々と書いているので見てみてください。

こういう人は努力の方向が間違っている可能性が高いわけです。量が十分でも、方向が間違っていれば目標に到達できないし、ましては正しい向きから90°も180°もズレていたらゴールすることは決してないです。

ただ、努力の方向があっているかどうか、というのは、自分で判断するのはかなり難しい。努力を始めた初期段階では特にそうです。よって、分析に優れた第三者と一定期間ごとのフィードバックをして、冷静に客観的に結果と照らし合わせて、結果が出ていない場合は努力の仕方が間違っているから、どうすべきかというアドバイスを受けるのが最も効率が良いだろうということになります。

さて、方向性が正しいのかどうかを見極めるためには当然ある程度の量が必要になるわけですが、勉強を本格的に始めたとき、成長しない人が選ぶ優先順位は、質→量になっていることが多いです。色々と上手くいきませんよ、それ。なぜなら、初心者が選べるのは量だけだからです。まず、質も方向性の正しさも、大量にやる中で、徐々に見えてくるものであって、そこでやっと追求したり分析できるようになります。よって、正しい順番は、量→質です。まず、勉強量を上げることを最優先にする。

しかし、大抵の人は物量がそもそも圧倒的に不足しているので、ゆるーーーく進めて急に高3であれもこれも…と慌てても、当然ながら間に合いませんし、高3だけ超大変になるし、まず最低要件、量を積み重ねないと、質や方向性の部分は何も話題にあげられないんです。つまり、建設的な話をするには量が絶対必要条件になるということです。

結論として、いろんな向き(方法)の努力を大量にこなしながら、その成果を正確に測る。そして、もっとも成果が出る向き(方法)を見定め、その方向に向かってアクセル全開で進み、質を高めていくというのがベストな選択でしょう。

となると、早め早めにスタートしなければ、成果を測り、方向性を修正・固めていくための時間が足りないこともわかるでしょう。そういう意味でも早い段階からコツコツと学習を積み重ねておかなければいけません。

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小野桂史
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